OWNED MEDIA総合経営MAGAZINE

コラム

新しい公益信託制度について

2026年4月から新しい公益信託制度が始まる ~「あなたの想い」が社会を変えます~

 

前回は社会福祉法人の事業・組織再編の柔軟化、迅速化についてご説明しました。今回は、もう一回、公益法人制度改正をスキップし、公益認定法と同時に国会で可決・成立し、2024年5月22日に公布された「公益信託に関する法律」による、新しい「公益信託制度」についてご説明します。

公益信託制度は、契約・遺言により一般市民(委託者)から受託者(担い手)に託された財産を用いて、受託者が「委託者の想い」に沿った公益活動を継続的に行う仕組みです。制度そのものは1977年に第1号が誕生してから利用されてきたものですが、主務官庁による許可や監習の基準が不統一であることや税制優遇を得るための制約が多いことを背景に、公益法人と比べ民間に浸透していませんでした(信託件数約400件、信託財産額500億円)。

 

今回の制度改正の主な目的は以下です。

  • 担い手の範囲が拡大

信託会社に加え、公益法人・NPO法人等が担い手になることができる。

  • 信託財産・信託事務の範囲が拡大

金銭に加え、不動産や美術品等を信託財産にできる。

  • 透明性の高い認可・監の仕組みへ

バラバラであった申請・相談窓口が一元化され、認可・監督の基準も統一的になる。

 

私は、遺贈や寄附を頼りにして活動を継続している公益法人をたくさん見てきました。中には活動資金不足に頭を悩まされている公益法人もあります。この制度改正を機により多くの想いと財産が公益法人を使って社会に行き渡り、活用されることを願います。